マタニティ(妊娠中/産後)
2024.08.28
【助産師監修】妊娠中のおっぱい・乳頭マッサージの効果的なやり方
出産間近に気になる『おっぱい・乳頭のマッサージ』について、助産師歴40年の布施先生が徹底解説!「いつから?」「やるべき?」「どうやって?」といった妊婦さんのお悩みにまるっとお答えします。
「母乳が出るようにしたいけど、効果的なおっぱいケアってあるの?」
「自己流の乳頭マッサージはNGって聞いたけど、どうすればいい?」
妊娠後期になると、こんなお悩みも多いのではないでしょうか?そこで今回は、助産師歴40年のスペシャリストに、妊娠中の「おっぱい&乳頭マッサージ」について教えてもらいました!
この記事の監修:布施明美先生(助産師、認定看護管理者)
- 神奈川県立こども医療センター看護局副看護局長、周産期センター副センター長を経て現在は医療法人産育会堀病院看護部長。
- 助産師歴約40年。神奈川県立病院や県立看護学校などでの勤務を経て、現在では神奈川県で一番出産数の多い医療法人産育会堀病院看護部長を担当。
- ●神奈川県立こども医療センター
- ●医療法人産育会堀病院
目次
Q.そもそも、「おっぱい・乳頭マッサージ」とは?
A.妊娠中に乳頭・乳輪を柔らかく整えておくためのマッサージです
乳頭・乳房マッサージは、妊娠中も産後もできますが、ここでは妊娠中のケアについてお伝えしたいと思います。
乳頭・乳房マッサージは、産後に授乳をスムーズに行うために効果的なケアです。マッサージによって、乳頭・乳輪部を柔らかい状態に整えておくことが目的です。妊娠後期(37週頃を目安に)取り入れることができます。
Q.「乳頭・乳房マッサージ」のメリットは?
A.スムーズな授乳と、ママの乳頭トラブルの予防に効果的です
赤ちゃんが生まれて間もなく始まる「授乳」ですが、赤ちゃんはお母さまの乳輪・乳頭を吸啜時、吸引圧が乳輪・乳頭にかかります。その為、乳頭や乳輪に負担がかかり亀裂などのトラブルを起こしやすくなります。
妊娠中に乳房マッサージや乳頭ケアをしておくと、乳頭・乳輪まわりが柔らかくなります。赤ちゃんにとっては吸いやすい状態になることで、スムーズにな乳頭開通ができ、母乳の分泌を促すことができます、また、お母さんにとっても亀裂や、痛みなどのトラブルが起きにくい状態に整えておけるというメリットがあります。
Q.「乳頭・乳房マッサージ」は絶対やるべきですか?
A.必須ではありません。妊娠経過などにより控えるべきこともあります
できれば妊娠後期に取り入れたいですが、乳頭への刺激はおなかの張り・子宮収縮につながることもあります。切迫早産の方や、おなかのハリがあって早産傾向がある人は、やらない方がいいでしょう。
Q.「乳頭・おっぱいマッサージ」はいつから始めるといいですか?
A.妊娠37週を過ぎたら始めましょう
妊娠経過に問題がないときは、妊娠37週目くらいから始めましょう。先述の通り、乳頭を刺激すると子宮の収縮を招くこともあるので、いつ生まれても大丈夫な時期に取り入れることが重要で、早く始める必要はまったくありません。そろそろ始めたいなという時期の妊婦健診で、念のため担当医や助産師さんに相談してから始めましょう。
Q.開始時期以外に、「乳房・乳頭マッサージ」を行う時の注意点はありますか?
A.傷をつけないようにすることが重要です
乳頭は「粘膜」であり、非常に傷つきやすい部位です。マッサージの前に、きちんと手を洗ってから始めましょう。また、マッサージの時に傷つけてしまわないように、手の爪は短く切っておくことが大切です。摩擦による刺激も軽減するためには、低刺激のオイルを塗りましょう。オイルの効果で、乳頭や乳輪の柔軟性も高まります。
助産師さんが教える「おっぱい・乳頭マッサージ」
【事前準備】
- ・乳頭マッサージ用オイルを用意する
- ・健診時、かかりつけ医や助産師に、乳頭マッサージをしていいか確認しておく
- ・おなかの張りや体調の変化が気になるときは行わない
- ・爪を短く切り、手を清潔にする
【やり方】
- ① マッサージする乳輪乳頭部にオイルを塗布します
- ② マッサージする方の乳房と同じ法の手で乳房を持ち上げます
- ③ 反対側の手の指(親指・人差し指・中指)の腹で乳輪・乳頭に触れましょう
- ④ 約3秒間3本の指で徐々に圧を加えます(乳頭が固いときは5~10秒)圧は圧迫している指が白くなる程度
- ⑤ ゆっくりと乳輪・乳頭部の位置を変えながら1分程度行う(乳頭の硬い人は2~3分)
- ⑥ 縦方向・横方向に指をずらして行う
- ⑦ オイルは拭き取らないままで様子をみる
【ポイント】
- ・乳輪までオイルをのばしてほぐすことで、赤ちゃんのくわえやすいおっぱいになります
- ・回数は1日1回入浴時などやりやすい時間に行いましょう。「赤ちゃんのために」とやりすぎるのはよくありません。時間も、力の強さも、ここちよい範囲で行いましょう
助産師さんおすすめ◎乳輪・乳頭ケア用オイル
ママ&キッズ ニプルベールは、非常に安全性の高い、おすすめのオイルだと思います。
動物性のオイル不使用で、赤ちゃんのリップケアにも使えるくらいの低刺激なので、妊娠中はもちろん、授乳期のケアにも使えると思います。赤ちゃんの口に入っても大丈夫だと、産後に強い力で吸われたときの乳頭トラブル予防としても安心ですね。ぜひ、オイルもうまく活用しながら、乳輪・乳頭をよい状態に整えていただきたいなと思います
ママ&キッズ ニプルベール
乳頭・乳輪まわりの肌荒れを防ぐ、低刺激オイル。防腐剤やラノリン(羊毛脂)、アルコール(エタノール)無添加で、赤ちゃんの口に入ることも考えて「食物アレルギーテスト※」も実施しています。 さらっとなじみ、ベタつきなくデリケートな乳頭を保護します。 ※特定原材料(卵、乳、小麦、そば、落花生、甲殻類)及び特定原材料に準ずるもの(大豆、くるみ、カシューナッツ、マカダミアナッツ)検出範囲以下または陰性であることを確認しています(すべての方にアレルギーが起きないという訳ではありません)
教えて助産師さん!乳房・乳頭まわりの不安Q&A
妊娠中~産後は、乳房に関する不安が多い時期ですよね。ここで、多くの妊婦さん・ママから寄せられる質問について、布施先生にお聞きしました!
Q. 初めての授乳がうまくいくためのコツを教えてください
A.赤ちゃんに“乳輪部まで”深くくわえてもらいましょう
乳頭・乳輪部が柔らかいと赤ちゃんがくわえやすくなるので、妊娠中の乳頭マッサージは効果的です。また、産後も、授乳前に乳輪・乳頭マッサージをして柔らかく整えておくと、母乳が出やすくなります。
授乳の時は、乳輪部まで深く赤ちゃんに含んでもらいましょう。乳頭だけをくわえていると、赤ちゃんもうまくおっぱいを飲めず、より強い力で吸うので乳頭トラブルも起きやすくなります。
最初の方は、自分の乳頭の向きを確認して、向きにあわせた抱き方をするとうまくいきやすいです。
外に向いているなら横に抱いて、まっすぐ正面の場合は、赤ちゃんもまっすぐタテ抱きにすると赤ちゃんも吸いやすいでしょう。乳頭と赤ちゃんの口が、平行となるような吸わせ方をすると、ゆがみがなくおっぱいが傷つかないように授乳できます。
Q. おっぱいが硬くて痛いです…。どうすればいいですか?
A.残乳(授乳後のおっぱいに残った母乳)をやさしく処理します
お産後3~4日後になると、母乳の量が急激に多くなり、カチカチに固くなったり、痛みや熱をもってつらくなることがあります。そのままにしておくと乳腺炎を引き起こすこともあるので、授乳後に残った母乳をやさしく出しておくようにしましょう。
入院中は助産師さんや看護師さんがケアしてくれるので、痛みや固さがある場合は気軽に相談してください。退院後は、次のようなケアがおすすめです。
【授乳後の残乳処理のやり方】
- ① 乳房全体を持ち上げるように、下から上に向かって両手でやさしく押す
- ② 次は乳房の斜め下から、その次は真横からと両手の位置を変えながら押して残乳を出す
- ③ そのあと次の授乳までそっとしておく
授乳後、乳房がまだ張りが強いときは、乳房を持ち上げ圧抜きをし、乳汁を排出すると、次の授乳に必要な乳汁が産生されます。残乳を出しすぎると母乳の量が増えてしまいます。
すでにつくられた分だけを、乳房全体からやさしく出すようにすると、だんだんと母乳の量が落ち着いてきます。痛みや不快感が続くようなら、1か月健診を待たずに助産師やかかりつけ医に相談しましょう。
Q. 乳腺炎を予防するコツはありますか?
A.抱き方を変えて、いろいろな方向からおっぱいを飲ませましょう
妊娠中~産後期のおっぱいケアには、こちらもおすすめ◎
妊娠中~産後は、乳輪乳頭だけでなく、バスト全体も大きく変化します。短期間に「のばされ、縮む」を繰り返した肌は、しだいにハリがなくなってのびきった状態になってしまうことも(伸縮を繰り返した輪ゴムが伸びきってしまうのをイメージすると、わかりやすいかもしれないですね)。
実は、おっぱいには筋肉がなく、デコルテの肌1枚で乳房を支えています。そのため、デコルテ~おっぱいの肌が伸びきってしまうと、バストの形が変わってしまうのです。
バストまわりの肌をハリのある状態に保つには、妊娠中からのバストケアが大切です。妊娠中の大きな変化を考慮してつくられた、バスト専用乳液をぜひ取り入れましょう。乳頭を強く刺激しなければ、おっぱいケアは妊娠初期から産後まで続けられます。
ママ&キッズ ビーアップホワイト
妊娠中~産後のバストの「うるおい・ハリ・くすみ※ケア」を1本で叶えるおっぱい専用乳液。妊娠中の敏感な肌にも使える低刺激処方で、バスト~デコルテの肌をしっかりとうるおいで包みます。
赤ちゃんの口に入っても大丈夫だから、産後も使いやすいのもうれしいポイント(ぬった直後に授乳をするときは軽く拭きとってください)
※くすみとは古い角質を含む汚れや乾燥、キメのみだれによるもの
おわりに
今回は、妊娠後期に気になる「乳房・乳頭マッサージ」について、助産師の布施先生に教えていただきました。
妊娠中の“からだの変化”は人それぞれ。マッサージをしたから、必ずおっぱいが出るというものではありません。妊娠経過に問題があるときや体調が優れないときには、マッサージを実施しなくても大丈夫です。
大切なのは、これからの赤ちゃんとの生活を想像しながら、妊婦さんご自身をいたわってあげること。今この瞬間も、からだは出産に向けて目まぐるしく変化しています。
すでに身体は一生懸命なのだから、「あれもしなきゃ、これもやらなきゃ」と焦らなくて大丈夫。“やるべきこと”ではなくて、“自分の体をいたわる時間”や“パートナーと、出産に向けた時を共有する時間”として、乳頭マッサージや妊娠線ケアなどを楽しんでもらえると嬉しいです。